2009年07月12日

四万六千日(しまんろくせんにち、季語ー夏)

 久保田万太郎の句に「七月十日浅草にて」の前書つきでー

☆四万六千日の暑さとなりにけり

ーというのがある。

 今ではもうこの言葉さえ知られていないだろうが、(旧暦)七月十日は観音様の結縁日で、この日にお参りすると「四万六千日」分の功徳があるとされる(東京の浅草寺が有名)。万太郎は浅草の子だから骨身に染み付いた縁日だが、ここでの「四万六千日」は数の大きさが暑さを強調するものとなっている。

 四万六千日は夏の季語として他にも多くの句がある。たとえば、水原秋桜子にはー

★炎立つ四万六千日の大香炉

ーというのがあり、万太郎句に似て暑さ、熱さ(香炉)を強調するかのようだ。

 観音、不動、地蔵は日本の庶民信仰で馴染み深い。私は巣鴨のとげ抜き地蔵に馴染むと同時に、浅草観音、入谷鬼子母神とも親しんだ。鬼子母神は私の守り神だった。

 浅草寺で有名なのは九日、十日に開かれる鬼灯(ほおずき)市だ。また鬼子母神ではこれに先立つ六日から八日の朝顔市だ。どちらにも出かけたものだが、朧ながら朝顔市の方が記憶に残っている。鬼灯市、朝顔市ともに夏の季語で多数の作句がある。各一だけ挙げておこう。

★いつからか都電なき街鬼灯市     山越 渚

★おしめりや朝顔市に人減らず     石川桂郎

 万太郎の句以外は『仏教俳句歳時記』(大法輪閣)から引いた。今や仏教行事と無縁の暮らしをしている人が大半だろうが、その分逆に、時々の仏教行事やそれを詠んだ俳句など味わえば、或は非常に新鮮かも知れない。

posted by まろにえ at 12:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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